特定非営利活動法人ジェン
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特定非営利活動法人ジェンにはどのようなスタッフがいるのか…ジェンは、どのような活動をしているのか…。より深くジェン知っていただくため、インターンがスタッフにいろいろなことを聞いてみました。

ジェンでの所属と現在担当している事業地域を教えてください。

Inomata : ジェンでは、プログラムオフィサーという役職でグローバル事業部に所属しています。現在担当している事業地域は、パキスタンです。

現在パキスタンではどのような事業をされていますか。

Inomata : パキスタン・ハイバル・パフトゥンハー(KP)州およびシンド州で、害虫被害の影響を最も受けた2県の農民に対し、害虫駆除・監視・管理を中心とした生計基盤支援事業を行っています(JPF:ジャパン・プラットフォーム様によるご支援)。

 具体的には、害虫被害の影響を受けた農民の方々に、必要な資材を提供したり、害虫に対する早期警戒メカニズムを創設したりして、地域の害虫被害を抑制します。同時に、害虫被害を受けた畜産農家への緊急支援を行い、農民の方々の生計を立て直す基盤形成に寄与する事業をしています。

「早期警戒メカニズム」の創設が、なぜ必要だったのでしょうか。

Inomata : 本事業地では、定期的にまたはバッタの群れが発生したときに、バッタへの制御や監視が行われていませんでした。そのため、いつ頃、どこで、どれくらいのバッタの群れが形成されるかについての事前情報が入手できず、農業、園芸、飼料、家畜、生計がつねに高いリスクにさらされていました。

 このメカニズムは、まず、携帯にインストールされたFAOの監視のアプリに、対象地域からの写真や情報が送信されます。これは、各県の農業局にLocust control roomがあり、そのすべてに配置されたジェンのスタッフを通して行います。次に、FAOはこの情報を気象データ、生息地のデータ、そして衛星データと合わせて分析・評価します。そして、最大6週間前までに予測を提供し、暫定警告を発します。


@FAO駐日連絡事務所 Liaison Office in Japan

最近行った他の支援活動を教えてください。

Inomata : ハイバル・パフトゥンハー州(KP州)上部および中央クラム地区における帰還民に対して、水衛生施設改修を中心とした生活基盤改善支援事業を行いました(UNOCHA様によるご支援)。給水支援として、同区の20の小学校と13ヵ所の診療所を対象に、水源を保護しました。そして、飲料水の給水スキーム(供給ライン、集水・地表水タンクなど)を新設し、水質検査を通して、安全な飲み水へのアクセスを確保しました。

 また、衛生支援活動として、トイレや手洗い場などの衛生施設の建設・修復も実施しました。同時に、最低限必要な衛生キット(歯ブラシ、歯磨き粉、爪切り、石鹸など)を配布し、衛生啓発を通して衛生面の維持・向上を図りました。

パキスタンの方々の元々の衛生意識はどのようなものだったのでしょうか。

Inomata : 事業開始前の調査の段階で、クラム県には、安全な水を飲める十分な学校や医療施設がなく、衛生状態を保つ施設やごみ箱すらありませんでした。子どもたちは、手洗いなど衛生教育に関する適切な知識を教わっておらず、学校にトイレがないために野外排便を行っていました。

ジェンに入ったきっかけや理由を教えてください。

Inomata : ジェンに入職する前の10年ほどは、大学、ボランティア、インターンなど国際開発に関わっていました。大学院を卒業した後は、様々な組織と関係を構築しながら、コミュニティ開発に関する学術的な知識や経験を生かして、経済的・社会的な自立支援活動に従事したいと思っていました。そして、ジェンの理念に感銘し、入職しました。

学生時代から長く国際開発に関わっていらっしゃいますが、支援の際に気を付けていること、意識されていることはありますか。

Inomata:気を付けていることは、スフィア基準に記載されていることになります。
 団体としては、ジェンの事業運営方針である「現地のニーズを見極め、現地の人びととともに、とり残されがちな人や地域を中心に、(自らの力と地域の力を最大限に活かして)自立とその存続を最小の費用で達成する。」です。

 自分自身としては二つあります。一つは、特に現場で、支援の形やプロセスなどが文化的・社会的に適切であるかどうか、常に慎重に考慮しています。様々な行政、コミュニティ、住民、長老など多くの関係者の中で、私たちの事業の内容次第で、争いの種を作り出すことも考えられるからです。また、研修を実施する際も、識字率が低い地域では、フリップチャートやビデオを使用したり実践の場を増やしたりして、参加者の理解が深まるように対応します。
 もう一つは、持続発展性です。緊急支援の場合を除き、ただ必要資材をお渡ししても壊れた際にそれを渡し続けることはできません。そのため、必要資材の作り方を伝えて、自分たちでメンテナンスもできる。そういった持続可能な支援のアプローチをすることで、事業後の人々の自立につなげる。そういう支援を大事にしています。

これまでで印象に残っているJENでの活動は何ですか。

Inomata : クラウドファンディングで事業にご賛同いただいた方々からのご協力で実施された「KP州クラム県Sarpakh女子中学校の修学環境改善支援事業」が印象に残っています。その事業では、外壁の増設や排水システムの修理など女子中学校の環境を改善しました。加えて、遊具や書籍をお渡しすることで、学生たち149人が安心・安全に学べる環境整備を行いました。

 パキスタンにおいて、学校の外壁の高さは就学率に関係します。パルダ(女性を、男性の視線にさらされることから守る風習や制度:ヴェールなどもその風習の1つ)という文化を持つ女子生徒たちにとって、その壁の低さは大きな問題となります。外から学校内部が見えることが、女子生徒本人や思春期の娘を持つ親や先生たちに不安や不快な思いを抱えさせ、それが理由で登校できない生徒もいます。

 モニタリングの際に、学校に通うのを止めてしまった友達も戻ってくるかもしれないと話す生徒に出会いました。将来スポーツ選手を夢見る生徒は、以前は休み時間に外に出て運動することが出来なかったけれど、今は毎日休み時間を楽しみしていると話してくれました。

座右の銘は何ですか。

Inomata : 「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」
 どんなことでも強い意志を持って実行すれば、必ず成就するという意味で、江戸時代後期、米沢藩主の上杉鷹山が家臣に、「やる気の大切さ」を説いた言葉になります。
 行動しただけではうまくいくとは限りませんが、行動しなければ何も進展しません。日々積み重ねていく努力が、無駄に終わることもありますが、役立つこともあると信じて、日々邁進していきたいと考えています。

好きな食べ物は何ですか。

Inomata : スリランカに6年ほど駐在していた関係で、カレーです。

これからの目標はありますか。

Inomata : もっと仕事の効率を上げて、支えてくださっている他の職員の皆さまのサポートも十分にできるようになることです。

最後に、この記事を読んでいる方へのメッセージをお願いします。

Inomata : お読み頂き、ありがとうございます。このインタビュー記事を通して、ジェンの事業にご興味を持っていただけると嬉しいです。



ジェンへのご支援をお願いいたします。

誰もがもつ、困難を乗り越え、未来を育もうとする「生きる力」。
その力を引き出し、サポートする。それが私たちの活動の原点です。
どうぞ皆様のご支援をお願いいたします。
特定非営利活動法人ジェン(認定NPO法人)